第13章 五月雨
——そして、待ちに待った、顕現の日の朝。
私はすっきりと軽い身体で目を覚ました。
昨日まで私を内側から焼き尽くそうとしていた、あのじっとりと蒸し暑い “神通力” は、高専のみんながくれたぬくもりによって、心が安定したおかげで、今は嘘のように優しく鎮まっている。
私はベッドから立ち上がると、クローゼットの奥から、ここにやってきたあの最初の日に身に纏っていた、着物を取り出した。
五条先生が買ってくれた可愛い洋服も大好きだけれど、儀式は、やっぱり着慣れたものの方がしっくりくるから。
私は着物を身に纏うと、静かに部屋のドアを開けて外へと出た。
談話室に行くと、そこにはみんながすでに集まっていた。
「雫ちゃん、おはよ。……体調は大丈夫?」
「おう、今日のその着物姿も格好よくて決まってんじゃん。私たちはここで一緒には行けないけどさ、ここで待ってるから」
「しゃけ!」
憂太くんや真希さん、パンダさんに棘くんが、みんなで私の周りを取り囲んで温かいエールを送ってくれる。
『みんな、おはよう。
……みんなのおかげで、最高の体調だよ。…それじゃあ、行ってくるね』
私が笑顔でペコりとお辞儀をすると、みんなも嬉しそうに手を振り返してくれた。
今回の顕現は、土地の霊脈を使って世界へ遠隔で雨を届ける “風伝い” の儀式。季節の顕現は神聖な儀式。本来、見られてはいけないもののため、みんなにはここでお留守番をしてもらうことになっていた。
「さあ、早速行きましょう」
背後から、皐月さんの声が響く。彼女の隣には、ニコニコと笑みを浮かべた、五条先生が立っていた。
今日の付き添いは、皐月さんと、五条先生の二人だけだ。