第3章 怪雨
「……っ!?」
乙骨さんの肩が、びくりと大きく跳ね上がった。
彼は目を見開き、弾かれたように席を立ち上がる。あまりの勢いに椅子がガタッと大きな音を立てたけれど、彼はそんなことも気にならない様子で、まっすぐに私を見つめていた。
「……う、憂太? どうしたんだよ急に」
後ろの席のパンダさんが、心配そうに声をかけるが、彼の耳には届いていないみたいだった。
彼は、信じられないものを見るような、驚いたような目で、じっと私を見つめている。
どうしたんだろう……?
彼の視線に、私はどうしていいか分からず、ただ首を傾げることしかできなかった。
『あの……どうかしましたか…?』
耐えきれず、私が恐る恐る聞くと彼は、ハッと我に返って、申し訳なさそうに笑って言った。
「あ……いや、なんでもない。ごめんね」
『いえ……』
私は戸惑いながらも席に座った。
「じゃ、授業始めるよー。
雫の教科書なんだけど、ちょっと遅れててね。明日には届くと思うから、今日は、隣のパンダに見せてもらって」
『わかりました。パンダさん一緒に見てもいいですか?』
「おう、いいぞ」
ドキドキしながら聞くと、パンダさんは快くそう言ってくれた。
そうして、初めての授業が始まる。
教壇に立ち、真面目に教えている先生を見て私は、失礼ながら、ちゃんと先生なんだなと感心してしまった。
私のイメージする先生とは、かけ離れていたからだ。
それに、教え方もすごく上手い。
そんなことを思いながら私はノートに板書を写していった。