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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第24章 キスの顔が見たい


「……もう一度、してもいいか?」

「うん」

また顔を近づけ、そして、直前になって思う。
――今度こそ、少しだけ見てみよう。
そう決めて目を閉じる。

だが、結局できない。

に触れた瞬間、そんな余裕はなくなる。

キスが終わった瞬間。

……また見られなかった。


「……」

「どうしたの?」

「……お前」

「うん?」

「キスをしているとき、どんな顔をしている?」

お前が目を丸くする。

「え?」

「いや……」

自分でも何を言っているのか分からなくなって、視線を逸らす。

「……見たいと思った」

「見ればいいじゃん」

「無理だ」

「なんで?」

「俺がキスしているからだ」

「……ふふ」

お前が笑う。

「じゃあ、脹相がちょっとだけ目を開ければいいんじゃない?」

「それができないから困っている」

「ふふふ」

「笑うな」

「だって可愛い」

「……可愛くない」

そう言いながらも、俺は彼女の頬に手を添える。

「次は……」

「うん?」

「少しだけ離れて、顔を見せてくれ」

「キスしたあとに?」

「ああ」

「それでいいの?」

「……今の俺には、それが精一杯だ」

お前が笑って頷く。

「分かった」

そして、もう一度キスをする。

やはり唇に気を取られて何も見られない。

だが、離れた瞬間。

目の前に、の顔がある。

頬が赤い。
目元が少し潤んでいて、恥ずかしそうに俺を見ている。

――ああ。

これが見たかった。

「……脹相?」

「……何でもない」

「また?」

「ああ」

ただ、今度は隠せなかった。

俺の顔もきっと、同じくらい嬉しそうになっている。

「……好きだ」

思わずそう言う。

「キスのあとに、お前がそんな顔をしているのが……すごく好きだ」

「……もう」

お前が恥ずかしそうに顔を伏せる。

その瞬間、また思う。

――やはり、また見たい。

キスをしている最中のお前の顔も。

そして、そのあとに俺を見る顔も。

どちらも、もっと知りたい。

だが、きっとこれからも。

「見たい」と「触れていたい」の間で、俺は何度も葛藤するのだろう。

それすら、悪くないと思った。
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