第24章 キスの顔が見たい
キスをするたびに、思う。
――の顔が見たい。
目を閉じているのか。
俺に触れられて、どんな表情をしているのか。
少し照れているのか。嬉しいと思ってくれているのか知りたい。
だが、俺が今していることのせいで、それが見えない。
顔を近づければ、視界に入るのはお前のまつ毛や頬の一部だけ。
少し離れれば見える。
だが、そうすれば唇が離れてしまう。
――どうすればいい。
キスをしながら、お前の顔を見ることはできない。
当たり前のことなのに、それが妙に悔しい。
一度、ほんの少しだけ目を開けてみる。
近すぎて、やはりよく見えない。
「……」
それでも見たい。
俺のせいで頬が赤くなっているのか。
俺に触れられて嬉しそうにしているのか確かめたい。
けれど、そんなことを考えているうちに、キスに意識を持っていかれる。
――駄目だ。
今はお前に触れている。
そう思うと見るのを忘れてキスに夢中になってしまう。
離れた瞬間、真っ先にお前の顔を見てしまう。
「……」
頬が赤い。
少し潤んだ目で俺を見上げている。
その表情を見た瞬間、胸が強くなる。
……こんな顔をしていたのか。
「脹相?」
「……何でもない」
「どうしたの?」
「いや」
言えるはずがない。
キスをしている最中のお前の顔が見たくて仕方がなかった、なんて。
そんなことを言えば、お前はきっと恥ずかしそうに笑う。
そして、俺はその顔を見て、また困る。