第2章 付き合ったことを五条さんに
「じゃあ、お祝いに甘いものでも食べに行く?」
「行きたい!」
「よし。今日は僕が奢ってあげよう」
「やった!」
歩き出した私の隣で、五条さんがぽつりと呟く。
「……でも、まさか本当に恋人ができるとはねぇ」
「五条さん?」
「何でもないよ」
「絶対なんか言ったでしょ」
「気のせい気のせい」
そんなやり取りをしながら、高専の廊下を歩いていく。
少しだけ緊張していたけれど、ちゃんと報告できてよかった。
それに、改めて思う。
私が脹相と付き合えたのは、私たち二人だけの力ではない。
一緒に住むことを許してくれて、片思いを応援してくれて、最後にはすれ違っていた私たちが話せる場所まで作ってくれた。
五条さんが、ずっと見守ってくれていたからだ。
そして何より――
「……早く脹相にも教えてあげたいな」
ぽつりと呟くと、五条さんが横からこちらを見る。
「はいはい。恋人のところに帰りたいんだね」
「……あはは。…うん、そうかも」
そう答えると、五条さんは小さく笑った。
「じゃ、いっぱい幸せになってきな」
その声は、保護者らしい優しさに満ちていた。