第2章 付き合ったことを五条さんに
そんな私たちが、ようやく気持ちを伝え合えたのは――。
「……五条さんが、話す場を作ってくれたからだよね」
私がそう言うと、五条さんは少し照れたように笑った。
「まあね、放っておいたら、二人ともずっと言わないままだったでしょ」
「……うん」
「だから、ちょっと手を貸しただけ」
五条さんは軽く言ったけれど、私は知っている。
あの日、五条さんが私たちのために時間を作ってくれなかったら、今もまだ、私たちは互いの気持ちに気づけないままだったかもしれない。
「ありがとう、五条さん」
「どういたしまして」
五条さんは笑ったあと、少しだけ真面目な顔になった。
「それで?」
「それでって?」
「君は、幸せ?」
その質問に、私は顔を上げた。
五条さんはいつものふざけた笑顔ではなく、静かにこちらを見ていた。
私は少しだけ考えて、それから頷く。
「うん」
「そっか」
「すごく嬉しい」
「……そっか」
五条さんは安心したように息を吐いた。
「じゃあ、いいんじゃない?」
「……ほんと?」
「君がちゃんと自分で決めて、幸せならね」
その言葉に、胸が温かくなる。
「ありがとう、五条さん」
「ただし」
突然、五条さんの声が低くなる。
「ん?」
「脹相には一応、保護者として言っておきたいことがある」
「……何?」
五条さんはにっこり笑った。
「泣かせたら許さないよ、って」
「五条さん……」
「冗談じゃないからね?」
笑っているのに、目が笑っていない。
「……脹相、怖がりそう」
「それくらいでいいの」
「でも、脹相は優しいよ」
思わずそう言うと、五条さんは少しだけ目を細めた。
「……うん。君がそう言うなら、信じるよ」
そして、私の頭をぽんと撫でる。
「よかったね」
「……うん」
「大事にしてもらいなよ」
「うん」
「君も、ちゃんと大事にするんだよ」
「もちろん」
そう答えると、五条さんはいつもの調子に戻って笑った。