第2章 付き合ったことを五条さんに
「おぉ……」
「やっぱりダメだった?」
「いや、ダメとは言ってないけど」
五条さんは深いため息をつく。
「そうか……君もついに……」
「?」
「いや、なんでもない」
「……怒ってる?」
「怒ってないよ」
五条さんはそう言いながら、どこか呆れたように笑った。
「むしろ、やっとかぁって思ってる」
「……やっと?」
「だってさ、君が脹相のことを好きになってから、ずいぶん経つでしょ」
「……」
「一緒に住む許可を出したときも、君は『脹相のそばにいたい』って言ってたし」
「それは……」
「僕が応援してるって言ったら、顔を真っ赤にしてたし」
「五条さん、覚えてたの?」
「もちろん。保護者だからね」
五条さんは腕を組み、満足そうに頷いた。
「だから、いつになったら付き合うのかなって、ずっと思ってたんだよ」
「……そんなに?」
「そんなに」
私は恥ずかしくなって俯く。
「でも……なかなか、うまくいかなくて」
「うん。見てた」
五条さんの声が少しだけ柔らかくなる。
「君も脹相も、お互いに大事に思ってるのに、変に遠慮してたからね」
「……」
「君は脹相に迷惑をかけたくないと思ってたし、脹相は脹相で、君を自分のそばに置いていいのか悩んでた」
その言葉に、胸がきゅっとなる。
付き合う前、私たちは何度もすれ違っていた。
好きなのに、相手も同じ気持ちだとは思えなくて。
近くにいるのに、あと一歩が踏み出せなかった。