• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第16章 待って


付き合い始めてから、脹相とのキスは少しずつ増えていった。
一緒に暮らしているからこそ、ふとした瞬間に距離が近くなる。

朝、出かける前。
帰ってきたとき。
眠る前。

最初は一度だけだったのに、最近では一度で終わらない。

その日も、ソファに並んで座っていると、いつものように脹相がこちらへ顔を寄せてきた。

唇が触れ、一度離れる。
そして、また近づいてくる。

二度目のキスが終わったところで、脹相の手が頬に触れた。

もう一度、重なりそうになって――

「……待って?」

思わず口にしたけれど脹相は止まらなかった。
ほんの少しだけ角度を変えて、もう一度唇を重ねてくる。

「……ん……」

驚いて目を開ける。

けれど、脹相はすぐに離れた。

「……待って、って言った」

「聞こえた」

「じゃあ……」

「だが、お前は俺を拒んでいない」

そう言われて、言葉に詰まる。

脹相はじっとこちらを見つめている。

「本当に嫌なら、俺は止まる」

その声は優しかった。

「だが、お前が照れて言っただけなら……待たなくてもいいと思った」

「……分かるの?」

「分かる」

迷いのない返事。

「長く一緒にいるからな」

そう言って、脹相の指が頬をそっと撫でる。

「それに……」

少しだけ目を伏せて、

「俺も、お前に触れたくて仕方がない」

そんなことを真顔で言うから、こちらまで顔が熱くなる。

「……ずるい」

「何がだ?」

「そんなこと言われたら、止めてなんて言えないじゃん」

「なら、言わなくていい」

脹相が少し笑った。

そして今度は、急がずに顔を近づけてくる。

「今度は、本当に嫌じゃないか?」

「……うん」

小さく頷く。

すると脹相は安心したように目を細めて――

「そうか」

もう一度、優しく唇を重ねた。

今度は「待って」と言わなかった。

言わなくても、ちゃんと分かってくれる。

そんな脹相の優しさが、何より嬉しかった
/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp