第13章 がっつきすぎ?
「お前が嫌がってないか、ちゃんと確認してるんだろ」
「……」
その言葉に、胸が少し温かくなる。
「脹相ってさ」
野薔薇が少しだけ真面目な顔になる。
「そういうところ、意外と紳士よね」
「意外ってなんだよ」
「だって見た目だけなら、もっとこう……」
野薔薇が腕を組みながら脹相の姿を想像する。
「無言で迫ってきそうじゃない?」
「分かる」
真希ちゃんも笑う。
「実際は『キスしてもいいか?』とか毎回聞いてきそう」
「……聞く」
「ほら!」
野薔薇が私を指差す。
「やっぱり!」
「でも……」
私は小さく笑う。
「聞いてくれるし、私が嫌なら絶対やめてくれる」
「じゃあ問題ないじゃん」
「むしろ満点だな」
「……ふふ」
思わず頬が緩む。
それを見た野薔薇が、呆れたようにため息をついた。
「はいはい」
「何?」
「もう分かった」
「?」
「惚気んな惚気んな」
「惚気てないよ!」
「その顔で言っても説得力ないわ」
「どんな顔!?」
三人で笑い合う。
そしてしばらくして。
私がふと立ち上がると、野薔薇が不思議そうに聞いた。
「どこ行くの?」
「……脹相のところ」
「早っ!」
「さっき会いたくなったって言ってたじゃん」
「聞いてないけど!?」
真希ちゃんが吹き出す。
「まあ、行ってこい」
「真希!」
「だって止めても無駄だろ」
「それはそうだけど!」
野薔薇が私を見る。
「でも一応言っとく」
「なに?」
「キスされすぎてふにゃふにゃになって帰ってくんなよ?」
「ならないよ!」
「どうだかな」
「真希ちゃんまで!」
二人の笑い声を背中に聞きながら、私はその場を後にした。