第12章 おいで
「脹相?」
「何だ?」
「まだ離れないの?」
「…………」
気づけば、脹相の腕も彼女の背中に回ったままだった。
「……もう少し」
「ふふ。いいよ」
がまた抱きしめてくれる。
「…………」
俺は目を閉じる。
そして心の中で。
――やはり、これが好きだ。
と、改めて思った。
「おいで」と呼ばれることも。
その声に応えて近づくことも。
「来てくれてありがとう」と言ってもらうことも。
最後に額へキスされることも。
全部お気に入りだった。
「…………」
今日も彼女に抱きしめられている。
「脹相」
「何だ?」
「落ち着くね」
「……そうだな」
の腕が背中に回っている。
俺も自然と抱き返す。
最近は、こうしている時間が増えた。
ふと脹相は疑問に思った。