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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第11章 頭突き


「脹相、待って!」

任務帰り。
少し先を歩く脹相を追いかけて、私は小走りになった。

「走るな。危ないぞ」

「大丈夫だって――」

言い終わる前に、足元がぐらりと揺れた。

「わっ……!」

「おい!」

脹相が私を助けようとしたけれど、遅かった。

ごんっ。

「……っ!」

「いたぁ……」

見事に、脹相の額へ頭突きをかましてしまった。

「ご、ごめん!」

慌てて顔を上げる。

「大丈夫? 脹相――」

脹相は額を押さえながら、こちらを見ていた。

「……お前は、本当に……」

呆れたような顔。
それがおかしくて私は思わず笑った。

「ふふっ……ごめん。でも、脹相の顔……」

そのまま顔を近づけた。

そして――

「…………」

「…………」

笑い声が止まった。

近い。近すぎる。
ほんの数センチ。

少し顔を傾ければ、そのまま唇が触れてしまいそうな距離だった。

「……え」

私が固まる。

脹相も――完全に固まっていた。

いつもの落ち着いた表情が消えている。

目だけが、わずかに揺れていた。

「…………」

脹相の呼吸が、一度だけ止まった。
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