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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第10章 俺はリードされっぱなし


「……どうしたの?」

「いや」

脹相が少し迷ってから尋ねる。

「……お前は、こういうことに慣れているのか?」

「え?」

「その……」

言いづらそうに視線を逸らす。

「俺が知らないだけで、以前に恋人がいたのかと思った」

私は少し驚いた。
けれど、その表情を見ていると、なんとなく分かる。

これは責めているわけではない。
ただ、自分だけが知らないことがあるのが少し不安なのだ。

「……脹相」

「なんだ」

「私、恋愛したことないよ?」

「…………」

脹相が固まる。

「脹相が初めて」

「……本当に?」

「うん」

「……キスも?」

「もちろん」

そう答えると脹相の耳が、少しずつ赤くなっていった。

「…………」

「ふふっ」

「……笑うな」

「ごめん」

「……そうだったのか」

「うん」

脹相はしばらく黙っていた。

「……安心した」

「どうして?」

「俺だけが分からないのかと思っていた」

「私だって分からないよ」

「だから、脹相だけが頑張らなくていいの」

私は握った手を少しだけ揺らす。

「二人で覚えていけばいいじゃん」

脹相がこちらを見る。

「……二人で?」

「うん」

「……そうか」

その言葉を聞いて、脹相の表情が柔らかくなる。

「なら……」

「ん?」

「これからは、俺がしたいと思ったときも、ちゃんと言う」

「うん」

「……したいと思ったとして、したいようにしてもいいのか?」

私は少し笑う。

「もちろん」

「……嫌なときは?」

「ちゃんと言うよ」

「分かった」

脹相は小さく頷く。

そして、しばらく私を見つめる。

「…………」

「どうしたの?」

「……今したいと思った」

その言葉に、私の胸も高鳴る。

「じゃあ……してみる?」

「ああ」

脹相は少し緊張しながら、私の手を握った。

まだ不器用で、どうすればいいのか分からない。

それでも。

「……近づいてもいいか?」

「うん」

今度は脹相から、一歩。
ゆっくりと距離を縮めてくる。

その姿を見ているだけで、胸がいっぱいになる。
たぶんこれからも、二人とも何度も迷う。
けれど迷ったときは、こうして聞けばいい。
そして、二人で答えを見つければいい。

そんなふうに少しずつ、
二人の恋は、二人のペースで進めていけばいいと思う。
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