第78章 卒業〜卒業式〜
「綺麗……」
「お前に似合うと思った」
「ありがとう……」
胸がいっぱいになる。
アルバムをもらって今度は脹相から花束まで。
「どうして……」
そう呟いたところで、ふと気づく。
ずっと胸に引っかかっていた
以前、脹相が後輩の女の子と楽しそうに話していたあの日。
もしかして
「……脹相」
「ああ」
「この花束……」
脹相は少しだけ目を逸らした。
「後輩に頼まれた」
「……やっぱり」
すると、後ろから後輩の女の子が笑った。
「そうです!」
「え?」
「この花束、私たちからのサプライズなんです」
私は目を丸くする。
「じゃあ……」
脹相を見る。
「この前、あの子と話してたのって……」
「ああ、これのことだ」
「……」
あの日。何を話しているのか分からなくて。
女の子と楽しそうにしているのを見て、勝手にモヤモヤして。
聞きたいのに聞けなくて。
ずっと胸の中に残っていた。
まさかそれが。全部、この花束のためだったなんて
「先輩を喜ばせたかったんです」
後輩が嬉しそうに言う。
「だから、脹相さんに協力してもらいました」
「……そうだったんだ」
思わず、花束を抱きしめる。
「私、ずっと……」
言いかけて、恥ずかしくなる。
「何だ?」
脹相が私を見る。
「なんでもない!」
そう私が笑うと、脹相はフッと笑った。
「そうか」
「みんな私のためにありがとう」
花束を、それから、アルバムを見る。
「すごく嬉しい」
脹相が、少しだけ笑う。
「それならよかった」
そして。
「卒業…したな」
「うん」
「今日から、また一つ変わる」
「そうだね」
寂しいはずなのに。
今は、不思議と心が温かかった。
後ろから、後輩たちが笑い声を上げる。
「先輩、写真撮りましょう!」
「脹相さんも!」
「え、俺も?」
「もちろんです!」
私は笑って、脹相の隣に立つ。
腕には大きな花束。
手には、みんなからもらったアルバム。
そして隣には、大好きな人。
シャッターが切られる。
高校最後の日。
私はたくさんの人から、たくさんの「おめでとう」をもらった。
その中でも。
脹相がくれた「卒業おめでとう」は。
きっと、ずっと忘れない。