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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第77章 卒業〜モヤモヤ〜



すると、教室の中から声がした。

「先輩ー! 次、私です!」

「あ……!」

我に返る。

「ごめん、今行く!」

もう一度、窓の外を見ると、まだ二人は話している。

何を話しているのか、分からない。
でも、今は後輩たちを待たせている。

私はその場を離れた。

「はい、これ」

「ありがとうございます!」

「こっちも先輩が作ったんですか?」

「うん。一応、みんな違うんだよ」

「すごい!」

後輩たちが嬉しそうにしおりを眺めている。
その様子を見れば、私も嬉しい。

卒業する前に、何かを残したい。
それだけで十分だったはずなのに。

どうしても、さっき見た光景が頭から離れない。

 ――脹相、楽しそうだったな。

一瞬だがしおりを渡す手を止めそうになる。

「先輩?」

「あ、ごめん」

「大丈夫ですか?」

「うん。大丈夫」

笑って答える。

でも胸の奥に引っかかったものは、なかなか消えてくれなかった。

全部のしおりを渡し終える頃には、もう外は夕方になっていた。
教室を出て廊下を歩きながら、さっきのことを思い返す。

脹相は、普段あまり自分から他人に話しかけるほうではない。

それなのにあの子とは、ずいぶん長く話していた。
しかも、笑っていた。

「……何の話だったんだろう」

独り言がこぼれる。
別に、脹相を疑っているわけじゃない。

そんなことは分かっている。

脹相が私を大切にしてくれていることも。
私のことを好きでいてくれることも。

ちゃんと分かっている。

それでも自分の知らないところで、脹相が女の子と楽しそうに話していた。

その事実だけが、どうしても気になった。

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