第77章 卒業〜モヤモヤ〜
卒業式まで、あと少し。
放課後の教室には、いつもより少しだけ人が少なかった。
私は机の上に並べていたしおりを、一枚ずつ袋に入れていく。
「先輩、これ……!」
「うん。はい、どうぞ」
「ありがとうございます!」
後輩の女の子が、嬉しそうにしおりを受け取る。
「大事にします!」
「使ってくれたら嬉しい」
「絶対使います!」
そう言って笑う後輩を見て、私も自然と笑顔になる。
卒業の記念に何か欲しいと言ってくれた子たちのために作ったしおりは、最初は数枚のつもりだったのに、気づけばかなりの数になっていた。
「先輩、次の子も待ってますよ」
「ほんとだ。ごめん、今行くね」
机の上に残っているしおりを確認して、私は別教室へ向かった。
その途中だった。
廊下の窓から外を見たときに見覚えのある姿が目に入った。
「……あれ?」
校門の近く。そこに脹相がいるように見える。
今日は迎えに来てくれることになっていたから、いてもおかしくない。
けれど脹相の隣には、後輩の女の子がいた。
「……」
思わず足が止まる。
私のしおりを欲しいと言ってくれた子の一人だった。
何を話しているんだろう。
少し離れているから、声までは聞こえない。
ただ、脹相がその子の話を聞いている。
そして、ほんの少し笑っている。
「……」
胸の奥が、妙にざわついた。
脹相が女の子と話している。
それだけなのに、どうしてか目を離せない。