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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第75章 卒業〜しおり〜


それから数日。

家に帰ると、私は机いっぱいに材料を広げていた。

ひとつひとつ、後輩たちの顔を思い浮かべながら選んでいく。

「この子は青が好きだったよね……」

「こっちは花の柄にしようかな」

気がつけば、かなりの数になっており、
夢中になって作っていた。

「……何をしている」

後ろから声がした。

「わっ」

振り返ると、帰ってきた脹相が、
こちらを見ていた。

「おかえり」

「ああ。ただいま」

脹相はそのまま私のところまでくると、机の上を見る。

「……これは?」

「しおり」

「しおり?」

「うん。後輩にあげるの」

「……後輩」

「卒業の記念に何か欲しいって言ってくれたから」

「そうか」

脹相はそれだけ言った。

けれどなんとなく、声が低い。

「どうしたの?」

「何でもない」

「……え、もしかして嫉妬してる?」

「していない」

即答だった。

でも、視線はしおりから離れない。

「してるじゃん」

「……」

「顔に出てるよ」

脹相はしばらく黙っていたが、
やがて観念したように息を吐く。

「……少しだけだ」

「ふふ」

「笑うな」

「だって、可愛いから」

「可愛いのはお前だろう」

「……」

今度は私が黙る番だった。

脹相は何事もなかったように、机の上のしおりを見る。

「そんなに作るのか?」

「うん。欲しいって言ってくれた子が何人かいて」

「そうか」

「一人ずつ違うデザインにしてるの」

「……丁寧だな」

「せっかくだからね」

私がまた作業に戻ると、隣に座った脹相がぽつりと言った。

「……俺も欲しい」

「え?」

顔を上げると脹相はしおりを見たまま、
少しだけ気まずそうにしていた。

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