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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第74章 脹相の不安


「……脹相」

彼は、しばらく私を見つめたあと、深くうつむいた。

「……どこから聞いていた?」

「途中から……ごめんね」

「いや……」

脹相は顔を覆いたくなった。
彼女を大切に思っていることも、未来が怖いことも、すべて聞かれてしまった。

「……すまない。気持ちの悪い話を聞かせたな」

その声は、いつもよりずっと弱かった。

私は彼の前まで歩いていき、そっと手を取った。

「そんなことないよ」

脹相が顔を上げる。

「気持ち悪いなんて思ってない。ちゃんと私のことを考えてくれていたんだって、嬉しかったよ」

「……だが」

「でもね、私の意見も聞いてほしかった」

脹相は、はっとしたようにあなたを見た。

「脹相が心配してくれるのは嬉しい。でも、私のことでもあるのに、一人で全部決めようとしないで?」

私は彼の手を握り直した。

「私も一緒に考えたいの」

脹相は黙っていた。

「……俺は、お前に苦労をさせたくない」

「うん。分かってるよ」

「俺の身体が原因で、お前に何かあったら……俺は自分を許せない」

私は、彼の頬にそっと触れた。

「私は、もう全部受け入れてるよ」

「……何?」

「子どもができても、できなくても、私は脹相のそばにいる」

彼女は微笑んだ。

「私が脹相と一緒にいるのは、子どもが欲しいからじゃないよ。脹相と一緒に生きていきたいから」

脹相の瞳が揺れた。

「もし子どもができなかったら、二人で別の道を探せばいい。もしできたら、そのときに二人で考えよう?」

「……お前は、それでいいのか」

「うん。私は脹相と一緒にいられることが、一番嬉しいから」

脹相は、私の手を握り締めた。

「……どうして、そんなふうに言えるんだ」

「だって、脹相だから」

彼女は少し照れくさそうに笑った。

「人間かどうかとか、普通かどうかとか、そういうことじゃないの。私が好きなのは、優しくて、不器用で、いつも私を大切にしてくれる脹相だよ」

「……俺は」

「うん?」

「……お前には、敵わないな」

彼は困ったように笑った。
けれど、その瞳にはまだ消えない不安が残っていた。
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