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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第73章 バレンタイン


少しだけ安心して、少しだけ切なくなった。

(……私、何を考えてるんだろ)

脹相が悪いわけじゃない。
チョコを渡した女の子たちが悪いわけでもない。

ただ、私の知らないところで、脹相のことを好きな女の子がいる。

それを改めて目の前に突きつけられた気がして、ほんの少しだけ、寂しかった。

家に帰ると、私は制服から部屋着に着替えた。

リビングに行けば、脹相がソファに座っている。

私に気づくと、隣のスペースを軽く叩いた。

「こっちに来い」

「ん」

素直に隣へ座ると、脹相は、足元に置いていた大きな紙袋を持ち上げ、私に差し出した。

「ほら」

「……え?」

「お前にだ」

「…………え?」

思わず紙袋と脹相の顔を交互に見る。

いや、待って。
お前にだ、って。

「……これ、全部?」

「そうだが」

「いやいやいや!」

私は慌てて首を振った。

「さすがに女の子たちに失礼だよ? 脹相に渡したかったんでしょ?」

受け取ることもできず、困ったように笑う。
すると脹相は、今度こそ本当に困惑した顔をした。

「……何を言っている?」

「え?」

「これは、お前宛てだ」

「…………え?」

「だから、お前に渡されたものだと言っている」

「……私?」

「そうだ」

脹相は紙袋の中を覗き込む。

「直接お前に渡すと、持って帰るのが大変だろうし、気を使わせてしまうから、と、俺のところに持ってきたらしい」

「…………」

「預かっておいてくれ、と」

私はゆっくりと紙袋を受け取った。

恐る恐る中を覗き込む。
可愛らしい包装紙。
リボンのついた小箱。
手作りらしいチョコレート。

そして、そのいくつかには。

『先輩へ』
『いつもありがとうございます!』
『大好きです♡』

「…………私に?」

「先ほどから、そう言っている」

脹相の声には、少しだけ呆れた響きがあった。

私は紙袋の中から、ひとつの包みを取り出す。

そこには、確かに私の名前が書いてあった。


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