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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第72章 年末年始〜大晦日


「五条さん、顔洗ってください」

「……ん」

「着替えも」

「……ん」

「ほら、これ着て」

「……んー」

完全に寝ぼけている。
私は五条さんの周りを忙しく動き回る。

服を渡して。
脱いだものを片付けて。
髪を整えて。

「はい、腕、通して〜」

「……うん」

「こっちも」

「……うん」

「五条さん、寝ないで」

「寝てないよ……」

「寝てるよ」

「……寝てない……」

そう言いながら目を閉じている。

「もう……早くしないとご飯冷めちゃうよ」

私は呆れながら、五条さんを半ば強引に着替えさせる。
その様子を、少し離れたところから脹相がじっと見ていた。

「……」

なんとも言えない顔。

「どうしたの?」

「……いや」

脹相は視線を逸らす。

「いつも、こうなのか」

「朝はだいたい」

「……そうか」

少しだけ複雑そうだった。
ようやく五条さんを食卓まで連れてくる。

「はい、座って」

「……」

五条さんは椅子に座る。
まだ半分寝ている。

「ご飯ですよ」

「……いただきます」

箸を持ち、しばらく無言で食べる。

そして

「……おいしい」

ぽつり。

「本当?」

「うん」

五条さんが、少しだけ顔を上げる。
まだ眠そうな目。
けれど、口元には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。

「のご飯は本当に美味しい……」

「……」

そう言って笑う。
いつもの軽い調子とは少し違う。

ほんの少しだけ、寂しさのようなものが混ざった声だった。

「……ならいっぱい食べてくださいね」

「うん」

五条さんは嬉しそうに頷く。

「いっぱい食べる」

そう言って、また箸を動かし始める。
私はその姿を見ながら、ふっと笑った。

その横で脹相は黙って朝食を食べていた。
時折こちらを見たあと五条を見る。

何か言いたそうな顔をするが結局、何も言わない。

ただ五条が嬉しそうにご飯を食べているのを見ていると、脹相の表情も少しだけ柔らかくなった。

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