第71章 年末年始〜布団は二つ
(手を繋いでいる)
(しかも自分から伸ばしてきた)
(俺のほうに寄っている)
(布団から少しはみ出している)
(……可愛い)
「……」
「脹相?」
「なんだ?」
「眠れそう?」
「……ああ」
「よかった」
彼女は安心したように目を閉じるが
脹相はしばらく天井を見つめた。
眠れるだろうか。
隣から伝わってくる小さな体温と、手のぬくもり。
それだけで胸がいっぱいになる。
それでも、繋いだ手だけは離さない。
「……おやすみ」
小さく呟く。
「おやすみ、脹相」
彼女の声が返ってくる。
そして脹相は、暗闇の中でひとり。
五条との約束を守れていることを確認しながら
同時に、彼女が自分の布団へ少しでもはみ出してきてくれたことが嬉しすぎて、なかなか眠れない夜を過ごすことになった。