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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第71章 年末年始〜布団は二つ



「ねえ」

「なんだ?」

「私、ここで寝るね」

「……ああ」

「境目のところ」

「……分かった」

私はさらに少しだけ身体をずらす。
布団から肩がほんの少しはみ出る。

「……少し寒い」

「!?」

脹相がすぐに反応する。

「大丈夫か?」

「うん。ちょっとだけ」

「なら戻れ」

「嫌」

「風邪を引く」

「でも、こっちのほうが近いもん」

「……」

脹相は完全に言葉を失った。

そして。

(……近い)

(いや、布団は二つだ)

(約束は守っている)

(守ってはいるが……)

隣を見ると暗くて表情は見えない。
けれど、布団の境目ぎりぎりで丸くなっているあなたの姿だけは分かる。

しかも、ほんの少しだけこちらにはみ出している。

(……可愛い)

(何を考えているんだ、俺は)

(落ち着け)

(五条との約束だ)

(布団は二つ)

(これは二つある)

(だが近い)

脹相は布団の中で、ぎゅっと拳を握った。

心臓が妙に騒がしい。

「……脹相」

「なんだ」

「手」

「……?」

私は布団から手を出して、境目から伸ばす。

「手、繋ぎたい」

「……」

脹相の思考が止まった。

「……いいのか?」

「うん」

おそるおそる手を伸ばすと指先が触れ、そのまま、手を繋ぐ。

「……」

「ふふ」

嬉しそうな声。

「これなら眠れそう」

「……そうか」

脹相は、繋いだ手を見つめる。

布団は二つ。
ちゃんと別々。
変なこともしていない。
約束は守っている。

――なのに。

「……」

脹相は悶絶していた。

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