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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第71章 年末年始〜布団は二つ


脹相が戻ってきてからすんなりと大掃除が進み、あれよという間に夜が来た。

「……おやすみ」

電気を消して、それぞれの布団に入る。

部屋は静かで、隣には脹相がいる。
けれど、布団は二つ。
昼間、五条さんに念を押されたからだ。

『布団は二つ引くこと! 絶対に変なことはなし!』

脹相は、その言いつけを律儀に守っている。

「……」

私は自分の布団の中で、目を開けた。
やっぱり、ちょっと遠い。
いつもなら隣で寝ている脹相が、今日は少し離れたところにいる。

「……」

私は少しずつ横へ布団を引きずる。

ずず……。

「……?」

隣から脹相の声がした。

「どうした?」

「なんでもない」

「そうか」

しばらくして。

ずず……。

また少し動かす。
脹相は何も言わない。
私はさらに布団を動かした。

すると――。

二つの布団が、ぴたりとくっついた。

「……」

「……」

暗闇の中で、脹相が黙り込む。
私は何食わぬ顔で布団に入ったまま言った。

「五条さん、布団は二つって言ったでしょ?」

「ああ」

「だから二つ」

「……そうだな」

「くっつけちゃ駄目とは言われてないよ」

「…………」

脹相から返事がない。

「だからいいよね?」

「……」

「脹相?」

「……ああ」

やっと返ってきた声は、妙に低かった。
私は満足して、さらに少しだけ脹相のほうへ寄る。

自分の布団と脹相の布団の境目。
そこに身体を寄せて。

「これならちょっと近い」

「……」

「いつもより離れてるけど」

「……そうだな」

「でも、さっきよりいい」

「……そうか」

脹相は律儀に、自分の布団からは出てこない。
私はその様子を暗闇の中で想像して、少し笑った。
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