第69章 年末年始〜年末
年の瀬。
そろそろ大掃除をしなければならない時期になっていた。
私は五条家に保護してもらっている身でもあるから、年末の大掃除を手伝うために、数日間だけ五条家に泊まり込むことになっている。
「じゃあ、行ってくるね」
五条家の玄関先。
荷物をまとめた私の隣には、見送りに来てくれた脹相が立っている。
「……本当に数日だけか?」
「うん。大掃除が終わったら帰るよ」
「そうか……」
そう言いながら、脹相はどこか寂しそうだった。
私も同じだった。
たった数日。
それだけなのに、離れて暮らすことを考えると、なんだか落ち着かない。
「毎日電話する?」
「……いや。声を聞いたら余計に会いたくなる気がする」
「ふふ、私も」
そんな私たちの会話を、少し離れたところで聞いていた五条さんが、突然口を挟んだ。
「ねえ、脹相」
「……なんだ」
「脹相も泊まってく?」
「え?」
思わず私と脹相が同時に五条さんを見る。
五条さんは、いつもの調子でにこにこしていた。
「別に部屋くらいあるし。年越しなんだから、二人でいたほうが楽しいでしょ」
「泊まる!」
即答した。
脹相が驚いたようにこちらを見る。
「おい、まだ俺は――」
「五条さんがいいって言ってるんだから、泊まろうよ!」
「……」
「ね?」
私が笑いかけると、脹相は少しだけ困った顔をして、それから小さく頷いた。
「……お前がそうしたいなら」
「やった!」
思わず脹相の腕に抱きつく。
その様子を見た五条さんが、呆れたように笑った。
「はいはい。ラブラブなのは分かったよ」
「だって、何日も離れてるの嫌なんだもん」
そう言ってから、ふと思い出した。
「それに、私が大掃除してる間、脹相がいてくれたら助かるし」
「俺が?」
「うん」
私は五条さんを指差した。
「五条さん、私が忙しくしてると、すぐ呼び出してくるから」
「えー? そんなことないよ?」
「あるでしょ」
「あるな」
脹相まで頷いた。
「ほら!」
「脹相までそっち側!?」
五条さんが大げさに傷ついた顔をする。
「だから、私の代わりに脹相に相手してもらおうと思って」
「なるほど」
脹相が妙に真剣な顔で頷く。
「任せろ」
「任せないでよ!」
五条さんの声が響く。
私は思わず笑ってしまった。