第65章 クリスマス〜イヴ
その日、夜が深くなるにつれて、五条さんは少しずつ口数が減っていった。
テレビではクリスマスの特番が流れていて、
こたつに入ったまま、二人で並んでそれを眺めていた。
「五条さん」
「ん?」
「眠い?」
「んー……ちょっとね」
「じゃあ、横になったら?」
「ここで?」
「うん」
私は自分の隣に置いていたクッションを手に取る。
「これ使う?」
「の?」
「うん。いつも私が使ってるやつ」
五条さんは少しだけ目を丸くしたあと、素直に受け取った。
「いいの?」
「もちろん」
続けて、私が肩にかけていたブランケットも渡す。
「これも使って」
「至れり尽くせりだね」
「今日は特別貸してあげる」
「そっか」
五条さんは笑って、こたつに入ったままクッションに頭を預けた。
私が渡したブランケットを肩までかける。
「……」
しばらくして、五条さんが小さく息を吐いた。
「……なんか落ち着く」
「こたつが?」
「それもあるけど」
五条さんがクッションに少し顔を埋める。
「の匂いがする」
「……もう」
思わず笑ってしまう。
「五条さん、やだー」
「なんで?」
「恥ずかしいでしょー?」
「僕は好きだけどな」
そう言って、五条さんは目を閉じた。
こたつの暖かさと、いつも使っているクッションとブランケット。
そこに私の気配が残っているからなのか。
さっきまでより、少しだけ表情が穏やかになった気がする。