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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第64章 クリスマスってなんだ


「じゃあ、せっかくだしプレゼントも用意しようか」

「プレゼント?」

「うん。恋人同士なら交換することも多いから」

「そうか」

脹相は少し考えるように視線を落とした。

「……」

「脹相?」

「……」

「どうしたの?」

呼びかけても、脹相は答えない。
ただ、じっと何かを考えている。

「欲しいものでも考えてる?」

「……ああ」

「何か欲しいものある?」

そう尋ねた瞬間、脹相がこちらを見た。

いつもと変わらない、真っ直ぐな目。
けれど、どこか静かな表情だった。

「……俺は」

「うん?」

「お前が欲しい」

「……え?」

一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
脹相はいたって真面目な顔をしている。

「お前が欲しい」

もう一度、はっきりと言われ、心臓が大きく跳ねた。

「……脹相、それ……」

 思わず顔が熱くなる。

 けれど脹相は、私の反応を見て不思議そうに首を傾げた。

「駄目なのか?」

「いや、駄目っていうか……」

 脹相の言う「欲しい」が、私の想像した意味なのかどうか分からない。

 でも彼は続けた。

「お前と過ごせるなら、俺は何もいらない」

「……」

 その言葉に、また胸が跳ねる。

 けれど。

 たぶん脹相が言っているのは、クリスマスプレゼントとして何か物が欲しいわけじゃなくて。

 ただ、私と一緒にいたいということ。

「……そっか、いいよ」

 私は少しだけ笑った。

「じゃあ、クリスマスは二人で過ごそうね」

「ああ」

 脹相が嬉しそうに頷く。

 その顔を見ていると、さっきの「お前が欲しい」という言葉も、深く考えなくていいような気がしてくる。

 ――私と過ごす時間が欲しい。

 きっと、そういう意味だ。

「じゃあ私は、脹相に何をプレゼントしようかな」

「いらない」

「え?」

「お前がいれば、それでいい」

「……もう」

 また胸が跳ねた。

 私は誤魔化すように笑って、脹相の肩に頭を預ける。

「じゃあ、いっぱい一緒にいようね」

「ああ」

 脹相の腕が、ゆっくりと私の肩を抱いた。

 窓の外では、冷たい風が吹いている。

 今年のクリスマスがどんなものになるのか、まだ何も決まっていない。

 けれど、隣にいるこの人と過ごせるなら、それだけで十分幸せな夜になりそうだった。
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