第64章 クリスマスってなんだ
十二月も半ばを過ぎた頃。
テレビから流れてくるクリスマスの特集を眺めながら、私はソファに座っていた。
隣では、脹相が不思議そうな顔をして画面を見つめている。
「……クリスマスというのは、何なんだ?」
「え?」
「さっきから同じ言葉が出てくる。街にも飾りが増えているし、あの赤い服の男は何者なんだ?」
「ああ……サンタさん?」
「サンタ?」
脹相が首を傾げる。
その反応がなんだか可愛くて、私は思わず笑ってしまった。
「子どもにはサンタさんが来て、プレゼントをくれるんだよ」
「……子どもには?」
「うん。大人には来ないの」
「なぜだ?」
「えーっと……そういうものだから?」
自分で説明しておきながら、随分と曖昧な答えだと思う。
けれど脹相は納得していないらしく、しばらく考え込んでから私を見る。
「それじゃあ、大人はどうするんだ?」
「大人?」
「ああ。サンタが来ないなら、クリスマスは何をする?」
「そうだなぁ……」
私は少し考える。
「恋人同士なら、お互いにプレゼントを用意したりするし、一人の人なら自分へのプレゼントを買ったり。友達とか家族でプレゼント交換する人もいるよ」
「……なるほど」
「別に何もしないで、家でのんびり過ごす人もいるしね」
「そうか」
脹相は真面目な顔で頷いた。
どうやら本当に知らなかったらしい。
しばらくして、脹相がぽつりと口を開く。
「……お前は?」
「ん?」
「お前は、誰と過ごすんだ?」
予想していなかった質問に、私は一瞬だけ目を瞬かせた。
「私?」
「ああ」
「……」
答えなんて、決まっている。
隣にいる彼を見て、私は少しだけ照れながら笑った。
「私は……脹相と過ごしたいんだけど。どうかな?」
「……!」
脹相の目が、ほんの少し見開かれた。
そしてすぐに、柔らかく細められる。
「……俺も、お前と過ごしたい」
その声が思っていた以上に嬉しそうで、胸がじんわり温かくなる。
「じゃあ決まりね」
「ああ」
二人で過ごすクリスマス。
そう決まっただけなのに、なんだか特別な約束をしたような気がした。