第63章 失恋した友達
「それはそれで、ずるいなぁ」
「何が?」
「そんな人、好きになっちゃうじゃん」
私は少し照れて笑う。
「……もう好きになっちゃってるけどね」
「はいはい」
友達が笑った。
そして、脹相を見る。
「でも脹相さん、ちょっと意外です」
「何がだ?」
「もっと恋愛上手で、何でもスマートにできる人なのかと思ってました」
「……俺はそんなに器用ではない」
脹相は真面目な顔で答える。
「人との関わり方も、まだ分からないことが多い」
「へぇ……」
「だから、間違っていたら言ってほしい」
そう言って、脹相は私を見る。
「……俺は、を大切にしたいから」
私は一瞬、言葉を失った。
友達も黙ったあと、
「……あー」
と小さく声を漏らす。
「やっぱりいい人だわ」
「……そう?」
「うん。完璧だからじゃなくて、不器用でもちゃんと相手を大事にしようとしてるところが」
脹相は少し困ったように黙った。
私はそんな彼を見ながら、そっと笑う。
――そう。
脹相は何でもできるわけじゃない。
むしろ、人との付き合い方には不器用なところがある。
でも、私を大切にしたいという気持ちだけは、いつだってまっすぐだった。
そんなところが好きなんだよなぁと考えていた。