第63章 失恋した友達
「確かに、脹相はそういうところあるね」
「そういうところ、じゃないでしょ!」
友達が私を見る。
「どうすればこんな好条件揃った人と付き合えるの!?」
「えぇ……」
「恋愛初心者のくせに!」
「ちょっと!」
友達が私の頬を両手でむにっと摘む。
「なんであんたなのよぉ!」
「いたた……!」
「私なんてあんな男に振り回されて終わったのに!」
「だからって私の頬を……!」
「羨ましい!」
頬を摘まれたまま抗議する私を見て、脹相は小さく笑った。
「……ふっ」
「脹相、笑ってないで助けて」
「すまない」
そう言いながらも、どこか微笑ましそうにこちらを見ている。
友達はようやく私の頬を離すと、じっと脹相を見た。
「……脹相さん、本当に完璧だわ」
「そうか?」
「そうですよ」
「そんなことない」
脹相は淡々と答える。
けれど、嬉しいようで耳が少し赤い。
私はそれを見て笑った。
「ね、本当に私にはもったいないくらいいい人だよ~」
「……」
脹相がこちらを見る。
「優しいし、私のことすごく大事にしてくれるし」
「……そうか」
「うん」
私が笑うと、脹相もほんの少しだけ表情を緩めた。
その一方で、
――俺も気をつけなければな。
脹相は密かにそう思っていた。
嫉妬することはある。
彼女が誰かと親しそうにしていれば、心がざわつくこともある。
だが、それを理由にの行動を制限したくはない。
彼女が自分の意思で帰ってきてくれること、
それが何より嬉しいからだ。
――束縛しなくてよかった。
今、友達の話を聞いていて、改めてそう思う。