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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第63章 失恋した友達


「もう、ほんっとに腹立つ!」

玄関を開けた瞬間、友達はそう叫んだ。

「ちょっと、落ち着いて」

「落ち着いてられるわけないでしょ!」

怒り心頭といった様子で靴を脱ぎ、ずかずかと家に上がってくる。

「聞いてよ! あの男、本当にありえないんだから!」

「うんうん。とりあえず座ろう?」

「だってさぁ!」

 友達はソファに座るなり、堰を切ったように話し始めた。

 私は隣で相槌を打ちながら話を聞く。

 脹相は少し離れたところに座り、静かにその様子を見ていた。

「自分は好き勝手するくせに、私が友達と遊びに行ったら嫌な顔するし!」

「うわぁ……」

「でしょ!?」

「うん」

「しかも自分のこと棚に上げて、『俺以外の男と連絡取るな』とか言うのよ!」

「それは嫌だね……」

「でしょ!?」

友達はクッションを抱きしめ、怒りのまま続ける。

「もういい! 別れて正解だった!」

「うん。私もそう思う」

「……はぁ」

ひとしきり吐き出したあと、友達はソファに背中を預けた。

「……でもさ」

「ん?」

「どこかにいないわけ!?」

突然、友達が顔を上げる。

「え?」

「顔よし、性格よし! 心に余裕があって、包容力のある男!」

「……」

「束縛はしないけど、ちゃんと心配してくれて!」

友達の声がどんどん大きくなる。

「こっちが疲れてたら甘やかしてくれて! ちゃんと話も聞いてくれて!」

「……」

「自分の感情をぶつけるんじゃなくて、こっちのことを考えてくれる人!」

そこまで言って、友達が、ぴたりと止まった。

「…………」

ゆっくりと視線が横へ動く。
その先には、黙って話を聞いている脹相がいた。

「……いるわ」

「え?」

友達が脹相を指差した。

「いるじゃん」

「……俺か?」

脹相が少し驚いたように自分を指す。

「脹相さんだよ!」

「……」

「顔よし、性格よし、心に余裕あり、包容力あり!」

「……」

「束縛しない!」

「……」

「ちゃんと心配してくれる!」

「……」

「甘やかしてくれる!」

脹相は困ったように黙っている。
私は思わず笑った。
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