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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第61章 ハロウィン〜猫


プリンを食べ終わる頃には、すっかり落ち着いた空気が二人の間に戻っていた。

私はスプーンを置き、満足そうに小さく息を吐く。

「美味しかったね」

「ああ」

脹相はそう答えながら、向かいに座る私を見ていた。

黒いふわふわのニットにショートパンツ。

頭には猫耳。

首元には小さな鈴。

普段の私とは少し違う。

見慣れない姿なのに、不思議とよく似合っている。

「……可愛いな」

「え?」

「いや」

思わず口から漏れそうになった言葉を、脹相は誤魔化す。

けれど、そんなこととは知らない私は、頭の猫耳に触れた。

「そろそろこれ、取ろうかな」

「……」

 脹相の目が猫耳に向く。

「もう少しだけ」

「え?」

「もう少しだけ、見ていたい」

 思いがけない言葉に、私は目を瞬かせる。

「……いいけど」

 そう答えると、脹相は少し嬉しそうに目を細めた。

 そして、ゆっくりと私の頭へ手を伸ばす。

 大きな手が、髪を優しく撫でる。

「……」

 いつものように、その手の心地よさに自然と身を預ける。

 撫でられるたびに肩の力が抜けていって、気づけば目を細めていた。

「ふふ……」

 思わず頬を緩める私を見て、脹相の表情も柔らかくなる。

 もう一度、ゆっくりと頭を撫でる。

「……気持ちいいか?」

「うん」

 素直に答えて、さらに手のひらへ頭を寄せる。

 脹相は嬉しそうに目を細めた。

 ――本当に猫みたいだ。

 そんなことを考えていると。

「……」

 ふと、頭を撫でながら脹相は思った。

 もし今、声を聞くことができたなら。

 きっと、ゴロゴロと喉を鳴らしているような音が聞こえてきそうだ。

 その想像に、脹相の口元がわずかに緩む。

 その時、ちりん、と首元の鈴が小さく鳴った。


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