第61章 ハロウィン〜猫
脹相の思考が止まった。
――だめだ。
朝の想像が蘇る。
『イタズラしちゃうからね』
目の前の彼女が、今まさにそれを言おうとしているように見える。
「…………っ」
「脹相?」
「……お菓子は」
「え?」
「お菓子は用意してある」
「ふふっ、知ってるよ」
私は笑いながらキッチンへ向かった。
「ちゃんとハロウィン用に買っておいたもんね」
そして冷蔵庫から取り出したのは、ホイップクリームがたっぷり乗ったプリン。
「はい」
「……そうだ」
「一緒に食べよっか」
「ああ」
脹相はようやく落ち着きを取り戻したように頷いた。
二人で並んでプリンを食べる。
甘いホイップと、なめらかなプリン。
さっきまでの緊張が嘘みたいに、穏やかな時間だった。
けれど
「……だが」
「ん?」
脹相がスプーンを置く。
「俺は……お前のするイタズラも、受けてみたかった」
「……」
私は少し目を丸くした。
「イタズラ?」
「ああ」
脹相は真剣な顔をしている。
「五条に言われてから、少し考えていた」
「ふふっ」
「笑うな」
「ごめんごめん」
私は少し考える。
そしてプリンの上に乗ったホイップをスプーンですくった。