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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第6章 初めてのキス


「……こちらへ来てくれ」

「うん」

さっきと同じように、脹相が少し屈む。

けれど今度は、二人とも最初ほど緊張していなかった。

もちろん、心臓はまだうるさい。

それでも――

脹相の手が頬に触れる。

「……もう一度だけ」

「うん」

目を閉じる。

今度は、待つ時間も少し短かった。

脹相がそっと顔を近づけて――

ちゅ。

また、優しいキス。

触れて。

離れて。

それだけなのに、胸がいっぱいになる。

唇が離れたあとも、脹相はすぐには顔を上げなかった。

額をそっと合わせる。

「……これで、いいか?」

「……うん」

私は小さく頷く。

「……嬉しい」

「……俺も」

脹相の親指が、頬をそっと撫でる。

「……お前にそう言ってもらえるのは、嬉しいな」

「じゃあ……」

私は少しだけ笑った。

「また今度も、してね」

「…………」

脹相がまた固まる。

「……ああ」

少し間を置いて。

「……何度でも」

その答えが嬉しくて、私は笑う。

「じゃあ、今度こそおやすみ」

「……ああ。おやすみ」

今度こそ離れる。

けれど二人とも、さっきよりずっと幸せそうな顔をしていた。


扉が閉まる。

「……おやすみ、脹相」

最後に聞いた彼女の声が、まだ耳に残っている。

「……ああ」

そう返して、自分の部屋へ戻った。


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