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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第58章 棒付きキャンディ


「……」

何が起きたのかわからず、私は固まる。

脹相は何事もなかったかのように離れると、口元に小さな笑みを浮かべた。

「……本当に美味いな」

「…………」

「いちごミルクというのは、こういう味なのか」

「ち、違……!」

顔が一気に熱くなる。

「脹相……!」

「なんだ?」

「今の……!」

言葉が続かない。
そんな私を見て、脹相は一瞬だけ目を丸くした。

そして――。

「……」

口元を手で覆った。

「……ふっ」

「笑ってるでしょ!」

「笑っていない」

「絶対笑ってる!」

「……すまない」

そう言いながらも、肩がわずかに震えている。
どうやら必死に笑いを堪えているらしい。

「……いつもお前にからかわれているからな」

脹相は手で口元を隠したまま、少し照れたように目を逸らす。

「ほんの少し、仕返ししてやろうと思っただけだ」

「……もう」

「まさか、こんな反応をするとは思わなかった」

「だって……!」

恥ずかしくて顔を隠すと、脹相はますます口元を押さえる。

「……」

「そんなに面白い?」

「いや」

少し間を置いて。

「……可愛いと思っている」

「!」

さらに顔が熱くなる。

「もう知らない!」

私がそっぽを向くと、脹相はとうとう耐えきれなくなったように小さく笑った。

けれど、その笑顔はからかうものではなくて。
どこか嬉しそうだった。
「……すまない」

「本当に反省してる?」

「ああ」

「じゃあ、もうしない?」

「……」

脹相が黙る。

「脹相?」

「それは……」

少し考えてから、照れくさそうに笑った。

「お前がまたからかってきたら、考える」

「もう!」

今度こそ怒ったふりをして睨む。

すると脹相は、また口元を手で隠した。

――どうやら、私の赤くなった顔を思い出して、笑みがこぼれるのを必死に堪えているらしい。

「……そんなに嬉しいの?」

「……」

しばらく黙ったあと。

「……思っていたより、ずっと可愛かった」

小さな声でそう答えた。

その瞬間、私はまた顔を真っ赤にする。

そして脹相は――今度こそ、完全に顔を背けて笑っていた。
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