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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第57章 小さな幸せ


最初は、ただの足音だった。

トタ、トタ、と。

俺の背後から聞こえてくる、小さな足音。

最初にそれを聞いた時は、何も思わなかった。

誰が来たのかなど、すぐに分かったが
振り返る必要もない。

この家で、俺のところへそんなふうに近づいてくるのは、お前くらいだから。

そして――

「脹相」

ひょこっ。

俺の肩越しから、お前が顔を出した。

「……どうした」

「呼んでみただけ」

そう言って笑う、
それだけだった。

ただ、それだけだったはずなのに。

(……可愛い)

最初にそう思った。

ひどく単純な感想だった。
だが、それからというもの。

俺はお前の足音が聞こえると、少しだけ待つようになった。
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