第52章 心の準備ができた
「……」
「……」
「大丈夫?」
「ああ」
「もう、脱ごうか?」
「いや。俺がやる。」
「そっか」
脹相は震える手をゆっくりと持ち上げ、もう片方にも手をかけた。
「ん……」
たゆんと重さが乗り、本当に触っているという感情が湧く。
「んっ…」
目を伏せ、赤くなった彼女と目が合うと、ブワッと感情が溢れそうになる。
「…好きだ」
「ん…私も好き」
目線を合わせ、ホックを外すと、隠れていた白い肌が露わになる。
「変じゃ…ない?」
「いや。綺麗すぎるくらいだ」
正直。見たことなんてなかった。
だけど、こんなに美しいものかと思ってしまう。
「……ありがとう」
俺がそう言うと、彼女は少し首を傾げる。
「なんで?」
「……俺を信じてくれているからだ」
そう答えると、彼女は照れたように笑った。
その笑顔を見て、俺はまた思う。
――やっぱり、綺麗だ。
けれど今度は、それを心の中だけにしまっておくことができなかった。
「……綺麗だ」
「……また言うの?」
「ああ」
今度は、迷わずに言った。
「何度でも言いたい」
そう言いながら、脹相は急かすことなく私を布団へ押し倒す。
私がそのまま、ゆっくりと身体を預けると、
ふわり、と布団が沈んだ。
「……脹相?」
「大丈夫だ」
私の顔を覗き込む脹相の表情は、いつものように真剣だった。
けれど、その目には優しさが滲んでいる。
「無理はさせない」
「……うん」
私は安心して微笑む。
すると脹相も少しだけ表情を緩めた。
「……よかった」
そう呟いて、私の手をそっと握る。
「今日は最後までしない。」
「脹相はそれでいいの?」
「ああ。もういっぱいいっぱいだ」
「ふふ」
「もう少しだけ触りたい」
「沢山触っていいよ?」
「それは…保たない」
「それじゃ、キスして?」
「ああ」
ちゅっと唇が触れ、そっと離れると、
彼女はにこっと微笑んだ。
「お前には敵いそうにない」
脹相はそういうと、私の首筋にキスをする。
今までより少しだけ近い距離。
それでも、私は不思議と落ち着いていた。
少しずつ脹相との距離が近づいている
そう感じれることが嬉しかった。