第52章 心の準備ができた
「……」
「ふふ」
私が笑うと、脹相も照れたように微笑む。
「……緊張するな」
「私もだよ」
そう言って、私は繋いだ手を握り返す。
「でも、大丈夫だよ」
その言葉に、脹相の表情が少しだけ安心したように緩む。
「……ああ」
もう一度、今度はさっきよりゆっくりと唇を重ねる。
離れたあと、額をそっと寄せ合う。
言葉は少なくても、お互いの気持ちは伝わっていた。
私は脹相の目を見つめながら、ゆっくりと身支度をほどいていく。
脹相は一瞬だけ息を呑んだものの、急ぐことはしない。
ただ、私の表情を確かめるように見つめる。
「……大丈夫か?」
「うん」
私はもう一度微笑む。
「大丈夫だよ」
その言葉に脹相も頷く。
「……分かった」
そして二人は、もう一度静かに微笑み合った。