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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第6章 初めてのキス



今まで何度か考えたことはあったけど、恥ずかしくて言えなかった。
けれど今は、脹相が目の前にいて、自分のことを優しく見てくれている。

だから。

「……脹相」

「ん?」

「…………」

一度、息を吸う。

「……キス」

声が震えそうになる。

「……してもいい?」

言ってしまった。

恥ずかしくて目を逸らしそうになるけれど、額が触れたままだから逃げられない。

脹相はしばらく何も言わなかった。

ただ、驚いたように私を見つめていて、
やがて、その表情が少しずつ柔らかくなる。

「……ああ」

静かな返事。

「……いい」

そして少しだけ照れたように、付け加える。

「俺も……したかった」

その言葉に、心臓が大きく跳ねた。

脹相の手が、そっと私の頬へ触れる。

「……俺から、してもいいか?」

「……うん」

そして、もう一度ゆっくりと目を合わせる。

今度こそ。

そう思ったのに――

脹相の顔が、ほんの少しだけ近づいて。

あと少し、というところで止まった。

「…………」

脹相の瞳が揺れる。

「……脹相?」

呼びかけると、彼は小さく息を吐いた。

「……すまない」

「どうしたの?」

「……思っていたより、緊張する」

その言葉に、胸がきゅっとなる。

「私も……すごく緊張してる」

そう言うと、脹相は少しだけ目を細めた。

そして、頬に添えた手の親指で、優しく私の頬を撫でる。

「……そうか」

短く呟いてから、もう一度私を見る。

今度は迷いが少しだけ消えていた。

「……では」

低く、穏やかな声。

「ゆっくりする」

私は小さく頷いた。

脹相が、ほんの少しだけ顔を傾ける。

近づいてくる気配に、自然と目を閉じる。

そして――

ちゅ。

唇が、そっと重なった。


 
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