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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第50章 3日間の我慢〜3日目



「…………」

「脹相?」

「……俺は今、何をした」

「キス、した」

「…………」

脹相の顔が固まる。

「……すまない」

「寝ぼけてたんでしょ?」

「ああ……」

脹相は片手で顔を覆う。
けれど、その耳は少し赤い。

「……夢だと思った」

「え?」

少し恥ずかしそうに視線を逸らす。

「お前が俺の頭を撫でていて……夢の中で会えたのだと思った」

「だからキスしたの?」

「……」

脹相は黙る。

やがて、小さく頷いた。

「……そうだ」

私は思わず笑ってしまう。

「ふふ」

「笑うな」

「だって、三日間で夢見すぎだよ」

「……仕方ないだろう」

「何が?」

「お前が隣にいなかったからだ」

その言葉に、私は少し黙る。
それから、さっきのキスを思い出す。

いつも脹相は、キスをするときに必ず私の顔を見て、
「……してもいいか?」と確認してくる。

大切にしてくれているのが分かるから、それは嬉しかった。

でも――さっきのキスは、何の確認もなかった。
寝ぼけていて、夢だと思っていたから。

きっと、いつもの脹相なら絶対にしないようなこと。

なのに私は、不思議と嫌ではなかった。
むしろ――

「……なんか、新鮮だった」

「……?」

「脹相が、確認しないでキスしてくるの」

脹相が目を瞬く。

「……嫌だったか?」

「ううん」

私は首を横に振る。

「嬉しかった」

「……嬉しい?」

「あんな脹相、初めて見たから」

少し照れながら笑う。

「いつもキスする前に確認してくれるでしょ?」

「……ああ」

「だから、ちょっと新鮮だった」

「その…凄く求められてるなって…」

脹相はしばらく黙っていた。
そして、少し困ったように目を伏せる。

「……俺は、いつもお前の嫌がることをしたくない」

「分かってるよ」

「だから、確認している」

「うん」

「だが……」

脹相は私を見る。

「寝ぼけていたとはいえ、あれは……」

「あ、私は嬉しかったよ」

そう言うと、脹相は少しだけ安心したように息を吐いた。


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