第49章 3日間の我慢〜2日目
「……」
「脹相?」
「……ああ」
小さく頷く。
そして、ほんの少しだけ目を伏せる。
「……夢より、いい」
「ふふ」
彼女は嬉しそうに笑った。
しばらくして、脹相がぽつりと口を開いた。
「俺は……お前の邪魔をしたいわけではない」
「うん?」
「三日間、自分の部屋で寝たいと言ったのも分かっている」
「うん」
「試験のためだということも」
「うん」
脹相は私の腕の中で、少しだけ俯いた。
「だから……俺が寂しいと言えば、お前が気にすると思った」
私は少し驚いて、脹相の頭を撫でる。
「全然邪魔じゃないよ」
「……そうか?」
「うん」
「だが……」
「部屋を分けたのだってね」
私は少し笑って説明する。
「夜も朝も私に合わせたら、脹相がちゃんと眠れないかなって思っただけなの」
「……俺が?」
「うん。私、夜遅くまで勉強したり、朝早く起きたりするから」
脹相は黙って聞いている。
「だから、脹相に寂しい思いをさせたくて別々にしたわけじゃないよ」
「……そうなのか」
「うん」
そして、私は少しだけ首を傾げた。
「そんなに寂しいなら……一緒に寝る?」
「…………」
脹相が固まる。
一緒に寝たい。
本当は、今すぐにでも「そうする」と言いたい。
けれど――
「……いや」
「え?」
「もう一日くらいなら、我慢できる」
なぜか少しだけ誇らしげに言う。
「本当に?」
「ああ」
「寂しいのに?」
「……寂しくない」
「また強がってる」
「強がっていない」
脹相は少しだけ顔を逸らす。
一緒に寝たい気持ちはある。
けれど、自分のために私の試験を邪魔したくない。
それに、ここで簡単に「一緒に寝たい」と言ってしまうのは、なんとなく自分の中の何かが許さなかった。