第42章 少し引きずる脹相
翌日の昼休み。
が用事でその場を離れている間、
俺は悠仁たちと一緒にいた。
昨日の事故のことは、誰にも話していない。
話すつもりもなかった。
「そういえばさ」
悠仁が突然、そんなことを言い出した。
「さっき、が俺の顔見ただけで『なんか元気ない?』って聞いてきたんだよ」
「あんたが分かりやすいだけでしょ」
野薔薇が呆れたように返す。
「いやいや、俺は普通だったって!」
「普通でもなかっただろ」
恵が淡々と口を挟む。
俺は黙って三人の会話を聞いていた。
「でも、あの子って前からそうよね」
野薔薇が笑う。
「人のことになると妙に鋭いのに、自分のことになるとびっくりするくらい鈍くて」
「あー、それ分かる!」
悠仁がすぐに頷く。
「俺が楽しみにしていた映画がそんなに面白くなくて、ちょっと落ち込んでるだけでも気づくのに、自分が無理してても全然気づかないもんな」
「まあな」
恵も頷く。
「昔から変わらない」
その言葉に、俺は少しだけ顔を上げた。
「……昔から?」
思わず口に出す。
恵がこちらを見る。
「ああ」
そして、何でもないことのように続けた。
「あいつは、人の気持ちには敏感なくせに、自分のことになると途端に鈍いんだよ」