第41章 朝のシャワー
「……あ」
急に、さっきのことが違って感じられる。
目が合った。
脹相の視界に、私がいた。
一瞬だけだったとしてもきっと見えたのだろう。
そう思うと頬が熱くなる。
「……なんか、私も、今になって恥ずかしくなってきた」
「……」
扉の向こうから、息を呑むような気配がした。
「……そうか」
脹相の声も、少しだけ掠れている。
「俺も……ずっと落ち着かない」
「……脹相も?」
「ああ」
少しの沈黙。
「……だから、さっきから何度も思い出してしまう」
その言葉に、今度は私の心臓が大きく鳴った。
「……言わないでよ」
「すまない」
「余計に意識しちゃう……」
「……俺もだ」
扉一枚隔てているだけなのに
さっきまでは何とも思っていなかった距離が、急に近く感じる。
私は思わず自分の頬を手で覆った。
「……もう、脹相の顔見られないかも」
「……それは俺も同じだ」
二人とも、少しだけ笑う。
でも、その笑い声さえどこか照れていて。
いつもの朝なのに。
ほんの一瞬の出来事だけで、二人の間に妙な緊張が生まれていた。