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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第41章 朝のシャワー


「……」

「脹相?」

「……なんだ?」

「なんか今日、返事おかしくない?」

「……そうか?」

「うん。なんか上の空」

「……気のせいだ」

必死に平静を装う。

その一方で、私はそんな脹相の事情など知る由もなく、

「まあいいや。シャワー終わったら朝ごはん食べよ」

と、いつもの調子で言う。

「……ああ」

短く返事をする。

扉一枚隔てた向こうでは、私はいつも通り。
けれど脹相にとっては、もう何もかもがいつも通りではなかった。

「……」

視線を逸らしたはずなのに。
あの一瞬が、どうしても消えてくれない。
脹相は赤くなった耳を隠すように、そっと顔を伏せた。

「……その…お前は、気にならないのか」

「え?」

「……開けてしまったことだ」

私は少し考える。

「ああ、え? 見えたの?」

と聞いた。

扉の向こうが、ぴたりと静かになる。

「……」

「目は合ったと思うけど」

何気なくそう続ける。

すると、

「……合った」

脹相の返事が、妙に小さい。

「そっか」

私はそれだけ答えて、少し笑う。

「私もびっくりしたよ。脹相が急に開けるんだもん」

「……すまない」

「ううん。わざとじゃないのは分かってるし」

そこまでは、いつも通りだった。

けれど――。

「……ただ」

脹相が、少し間を置いて言う。

「今まで、一度も見たことがなかったから」

「……」

その言葉を聞いた瞬間、胸が小さく跳ねた。

そういえば、本当に、そうだった。

付き合っているのに、一緒に暮らしているのに。

今まで一度も、お互いにそういう姿を見たことがなかった。

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