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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第5章 初めてのハグ


「……脹相」

「何だ」

「ちょっと緊張してる?」

「……している」

即答だった。

「ふふっ」

「お前もだろう」

「……そうだけど」

耳元で聞こえる脹相の声が、いつもより少し低く感じる。

今まで身体を寄せていたときには、こんなふうに彼の鼓動を意識したことはなかった。

けれど今は、腕の力も、体温も、呼吸の揺れも、ひとつひとつがはっきり伝わってくる。

しばらく、そのまま何も言わなかった。

でも、不思議と離れたくなかった。

やがて脹相が小さく呟く。

「……これが、恋人としてのハグか」

「うん」

「……今までとは、また違うな」

「やっぱり?」

「ああ」

 脹相の腕が、ほんの少しだけ強くなる。

「眠るために寄り添うのも嫌いではなかった」

「うん」

「だが、今は……お前を抱きしめたいと思って抱いている」

 胸が跳ねた。

「……そっか」

「ああ」

 脹相は少しだけ言葉を探すように黙った。

「お前が俺の恋人だと、実感する」

 その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「……私も」

 そう答えると、脹相が少しだけ身体を離した。

 目が合う。

 なんとなく、二人とも照れてしまって、どちらからともなく笑った。

 そのとき、脹相は初めて、正面から見た私の顔をじっと見つめた。

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