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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第38章 逃げる


布団の中。

脹相は私を抱きしめたまま、まだ少しだけ遠慮しているようだった。
腕の力も、触れ方も。まるで、少しでも強くすれば私が嫌がるのではないかと思っているようで、やはり少し寂しい。

「……脹相」

「ああ」

「まだ心配?」

「……少しな」

「じゃあ、ちゃんと伝えるね」

私は脹相の胸元から顔を上げる。

「寝てても抱きしめていいよ」

「……」

「したくなったらキスしてもいい」

脹相の目がわずかに見開かれる。

「それに、眠ってる私を起こしてもいいから」

「……起こしても?」

「うん」

私は小さく笑う。

「寝てる時に寂しくなったら、起こしてくれていい」

脹相は何も言わない。
ただ、私を見つめている。

「だから……」

私は彼の服をそっと掴む。

「離れないで」

「……」

脹相の表情が変わった。
驚いたような。

それから、少しだけ苦しそうな顔。

「……お前」

「うん」

「そんなことを言われたら……」

言葉が途切れる。
脹相は一度目を伏せて、ゆっくり息を吐いた。

「本当に、離れられなくなる」

「それでいいよ」

「……本当に?」

「うん」

脹相はしばらく私を見つめていた。
そして、そっと頬に手を添える。

「……分かった」

 声が、とても優しい。

「もう、勝手に離れない」

「約束?」

「ああ。約束する」

そのまま、脹相が私を抱き寄せる。
今度は、さっきよりもしっかりと。

けれど苦しくはない。
ただ、確かにここにいると伝えるような抱き方だった。
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