第37章 媚薬
それからしばらく。
すっかり元気になった私は、テーブルに置かれていた飲み物を手に取った。
「これ飲んでいい?」
「待て」
「……え?」
脹相が真顔でこちらを見る。
「俺が確認してからだ」
「ただのお茶だよ?」
「この前のことを忘れたのか」
「忘れてないけど……」
「なら、俺が確認する」
あれ以来私が何かを飲もうとするたび、脹相は必ず一度確認するようになった。
「脹相、これ飲んでいい?」
「ああ」
「これは?」
「待て。俺が見る」
「……過保護じゃない?」
「当然だ」
真剣な顔で答える脹相に、私は思わず笑った。
でも――
「……まあ、いいか」
何を飲むにも脹相が確認してくれる。
そして何より、あの日以来、私が「撫でて」と言えば、脹相はいつでも優しく頭を撫でてくれるのだから。
悪くないどころか。
私は案外、この過保護な恋人を気に入っていた。