• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第37章 媚薬



五条さんの姿が見えなくなってから、私は脹相を見上げる。

「……脹相」

「なんだ?」

「もう少し近くにいて」

「ああ」

脹相は素直に私を引き寄せる。

肩を抱かれ、そのまま胸元へ顔を埋める。

「……安心する」

「そうか」

「うん……」

頭を撫でられる。

ゆっくり、何度も。

「……脹相」

「なんだ」

「もう一回」

「何をだ?」

「撫でて」

「……ああ」

大きな手が、優しく髪を梳く。

「よしよし」

「……もっと」

「分かった」

もう一度。

今度は少し長く。

脹相は私を抱き寄せたまま、ふと先ほどの五条の言葉を思い出していた。

『僕の可愛い保護対象を取られて』

確かに、五条にとって私は大切な存在なのだろう。

それでも。

今、私が自分の腕の中で安心している。

それがどうしようもなく嬉しかった。

「……今日は随分、俺に甘えるな」

「だめ?」

「いや」

即答だった。

「……むしろ、嬉しい」

「ほんと?」

「ああ」

脹相の腕に、少し力がこもる。

「好きなだけ甘えていい」

「……うん」

私は安心して、もう一度その胸元へ顔を埋めた。

薬のせいなのか、それとも恋人に甘えたいだけなのか。

もう自分でもよく分からなかった。

ただ――

今日だけは、脹相の腕の中が一番安心できた。

/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp