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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第37章 媚薬


「……やだ」

「え?」

五条の手が、頭に触れる寸前で止まる。

「今は……触られたくない」

「僕でも?」

「うん」

五条は一瞬、寂しそうに眉を下げた。

けれど、すぐに私の顔を見て確認する。

「……薬のせい?」

「……分かんないけど、多分」

私は脹相の袖をぎゅっと握る。

「今は、脹相以外に触られたくない」

「…………」

五条が黙る。

脹相も一瞬だけ目を見開いた。

けれど、その口元がほんの少しだけ緩んだ。

「……脹相?」

「なんでもない」

「今、嬉しそうだった」

「気のせいだ」

「絶対そうだった」

五条が二人を交互に見る。

それから、ふっと息を吐いた。

「……そっか」

からかうような声ではなかった。

「じゃあ、今日は脹相に任せる」

「……うん」

「嫌なら無理には触らないよ」

五条は伸ばしかけた手を静かに下ろした。

「僕はいつでもいるから。落ち着いたら、また撫でさせて」

その言葉に、私は少しだけ五条を見る。

「……うん、ごめん」

「謝らなくていいよ」

五条は笑う。

「僕は君の保護者なんだから。嫌なことを我慢してまで触らせてもらおうなんて思わないよ」

それから脹相を見る。

「ただし」

「なんだ?」

「この子、甘えすぎてるからって無理させないでね」

「分かっている」

「ちゃんと水飲ませて、食べられそうなら何か食べさせて、今日は早く休ませる」

「……ああ」

「それから、何かおかしいと思ったらすぐ僕を呼ぶこと」

「分かった」

「よし」

五条は満足そうに頷いた。

そして、もう一度だけ私を見る。

「……それにしても」

「?」

「僕のところには来てくれないんだ?」

「……今は」

私は脹相の服を握り直す。

「脹相がいい」

「そっか」

少しだけ寂しそうに笑ってから、五条は脹相を見る。

「随分好かれたね」

「……そうだな」

今度は隠しきれないほど、嬉しそうだった。

五条がそれを見逃すはずもない。

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