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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第37章 媚薬


高専へ戻る頃には、空がすっかり夕暮れ色になっていた。

「ただいま……」

廊下を歩いていると、ちょうど向こうから五条悟がやってくる。

「お、帰ってきた?」

「悟」

「お疲れさま。……って」

五条の足が止まった。

いつもの軽い笑顔が、ほんの少しだけ消え、私の顔をじっと見る。

「ちょっと待って」

「?」

「顔、赤くない?」

「……そう?」

「うん。目も少しぼんやりしてる」

五条が近づいてくる。

「もしかして熱もある?」

「もう大丈夫だよ」

「それ、本人の『大丈夫』は信用できないやつ」

「えぇ……」

「今現在のことを聞いてるからね」

五条は私の顔を覗き込み、それから脹相へ視線を移した。


「連絡は受けているけど、その後変わったことは?」

「変化はないが、本人が熱を持った視線を向けてくる。」

「まだ薬の影響、残ってるんじゃない?」

「ああ。本人は問題ないと言っているが、多分我慢はしてる」

「やっぱり」

五条の表情が少し真剣になる。

「じゃあ、今日は一人にしないで。水分は取らせて、変な症状が出たらすぐ言って」

「分かった」

「あと、本人が『平気』って言っても、急に具合悪くなる可能性はあるから――」

「五条さん」

「ん?」

「もう大丈夫だってば」

私が少し頬を膨らませる。

すると五条は、ようやくいつもの調子に戻った。

「はいはい。でも心配なの」

そう言って、いつものように手を伸ばす。

「よしよし。今日は頑張ったね」

頭を撫でようとしただけだった。

ただ、それだけだったのに
私は反射的に脹相の腕へぴったりくっついた。

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