第36章 カラオケ
その頃、カラオケを終えた野薔薇は、一人でスマホを眺めていた。
脹相に直接連絡することはない。
だから、伏黒に動画を送ってもらった。
もちろん、あの一言も一緒に。
「……絶対、拗ねてるわね」
野薔薇は楽しそうに笑う。
脹相が動画を見て、私に少し嫉妬する。
そして、彼女が帰ってきたら――
きっと、いつもより少し強く抱きしめる。
それくらいは簡単に想像できた。
「……まったく」
そう言いながら、口元は笑っている。
「二人とも、お互い好きすぎなのよ」
野薔薇がわざと脹相を煽ったのは、意地悪をしたかったからではない。
脹相が少し拗ねれば、あの子ところへ甘えに行く。
そうすれば、自然と二人の距離が縮まる。
――それが、野薔薇なりのちょっとしたお節介だった。
「……ま、これでまた仲良くなったでしょ」
そう呟いて、野薔薇は満足そうにスマホをしまった。