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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第36章 カラオケ


「ただいまー」

彼女が帰ってくる。

脹相はすぐに立ち上がった。

「おかえり」

「ただいま。どうしたの?」

「……何でもない」

そう言いながら、彼女をぎゅっと抱きしめる。

「わっ……脹相?」

「今日は……少しこうしていたい」

「どうしたの?」

「……伏黒から動画が来た」

「あ、見たんだ?」

「見た」

「どうだった?」

脹相は少し黙った。

それから、彼女の肩に顔を埋める。

「……可愛かった」

「え?」

「すごく可愛かった」

素直に言われて、彼女の頬が赤くなる。

それを感じた脹相は、少しだけ満足そうに笑った。

「ただ……」

「ただ?」

「野薔薇に『大好き』と言っていたな」

「え……?」

「野薔薇から伝言も来た」

「なんて?」

脹相は少しだけ不満そうな顔をして答える。

「『あんたの恋人、私のこと大好きなんだって。羨ましいでしょ!』だそうだ」

「あはは……野薔薇ちゃんらしい」

「……そうか?」

「うん。たぶん脹相が嫉妬するの分かってて言ってるよ」

「……やはりそうか」

少し考えたあと、脹相は私を抱きしめる腕に力を込める。

「……少し悔しい」

「どうして?」

「お前の『大好き』を、野薔薇に分けたからだ」

「言葉は減らないよ?」

「分かっている」

それでも脹相は少し拗ねている。

「……でも、俺にも言ってほしい」

「……!」

耳元でそう囁かれて、私の顔が一気に赤くなる。

それを見た脹相は、ようやく満足そうに目を細めた。

「……これで少しだけ、野薔薇に勝った気がする」

「何の勝負なの……?」

「俺にも分からない」

そう言って、脹相は私を抱きしめ直した。
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